【第1回】ペットの快適環境は人と同じ?|見落とされがちな温度と空気の問題
本プロジェクトでは、温度・湿度・CO₂・VOC・騒音といった環境指標を日々取得し、「人にとっての安全と快適」を検証しています。
検証とは別の論点になりますが、この探求を始めたきっかけのひとつが、愛猫との生活です。安定的な熱環境・空気環境・防犯対策等を通して、そこに暮らす人間と猫が快適に日々の生活を送れることを目標にしています。
最初の問いはシンプルでした。「この部屋、快適だな」と感じたとき、その環境はペットにとっても快適なのか——。同じ空間で暮らす飼い猫も、まったく同じ環境に身を置いているという事実から、ペットの快適環境についても検証とは別に考えることにしました。
人間であれば「暑い」「空気が重い」「うるさい」と言葉にできます。しかしペットは、不快を感じてもそれを伝える手段を持ちません。床に体を伸ばして寝ていても、それが快適なのか不調なのかを判断するのは容易ではありません。
我が家には銀杏という猫がいます。この子もまた、同じ環境の中で生活しています。
余談ですが、銀杏はお腹が空いたら「ごはん」と言うときがあります⁉️(聞こえるといったほうがよいかもしれませんが)
現状:関心はあるが、対策は追いついていない
日本国内のペット飼育に関する調査データを調べると、気になる数字が浮かびます。
- 犬の飼い主の 24.3% が、愛犬の熱中症経験を持つ(日本気象協会, 2019年)
- 室内飼いでも熱中症になるケースが 29.1% に及ぶ
- にもかかわらず、ペットの室内適温を知らない飼い主は84.3%(ダイキン工業調査)
- 空気質(抜け毛・ニオイ)への関心は高いが(13.8%〜9.2%)、温湿度管理への関心はわずか 3.7%
関心はある。でも、何度が適切なのか、どう管理すればいいのか、具体的な知識が届いていない。
さらに問題の根底には、環境省などの行政機関による統一された公式基準が存在しないという事実があります。獣医師・動物病院がそれぞれ発信しているものの、国レベルでの普及には至っていません。
このプロジェクトが気づいたこと
私が毎日取得しているセンサーデータは、同居する銀杏が暮らす空間のデータでもあります。
「人が快適ならペットも大丈夫」という意識は、データから見ると必ずしも正しくない。
適温ひとつとっても、人間の快適域(20〜26℃程度)と猫の快適域(21〜28℃)は重なりつつもズレがあります。空気質の感受性にいたっては、種としての差はさらに大きい。後の回でお伝えするVOCのエピソードは、まさにその実例です。
■ 関心はあるが、対策は追いついていない
日本の調査データを見ると、次のような実態があります。
・犬の飼い主の24.3%が熱中症を経験
・室内でも発症するケースが29.1%
・ペットの適温を知らない飼い主は84.3%
つまり、「気にしてはいるが、具体的な基準が分からない」という状態です。
さらに重要なのは、ペットに関する統一的な公式基準が存在しないことです。獣医師の知見はあるものの、それが広く共有されているとは言えません。
■ 人が快適でも、ペットが快適とは限らない
例えば温度の快適域は以下の通りです。
・人間:20〜26℃
・猫:21〜28℃(短毛種や長毛種でも快適な温度域は変わります)
一見近いようで、最適値にはズレがあります。さらに空気質に対する感受性は種によって異なります。
「人が快適なら大丈夫」という前提は、必ずしも成立しないかもしれません。我が家の愛猫は快適に感じてくれているのだろうか・・?
次回は、ペットごとの具体的な適温を整理し、「どの程度違うのか」を数値で確認します。
