毎朝のトーストに潜む「アクリルアミド」の話|続・VOCと日常生活の話
VOCの話をしていて、もう一つ気になる物質に行き着きました。アクリルアミドです。
「パンをオーブンで焼くと発がん性物質が出る」という話、聞いたことありますか?これがまさにアクリルアミドの話です。
アクリルアミドってどうやってできるの?
アクリルアミドは、食品の原材料に含まれるアミノ酸の一種「アスパラギン」とブドウ糖・果糖などの還元糖が、120℃以上の高温加熱によって「メイラード反応(アミノカルボニル反応)」を起こす過程で生成される化学物質です(農林水産省)。
「メイラード反応」は、食品が焼けてきつね色になる反応でもあるため、「焼き色が濃いほど危ない」というイメージがありますが、実際はそう単純ではありません。
生成量を左右する主な要因は、焼き色ではなく原材料中のアスパラギンと還元糖の量です。同じ焼き色でも、素材によってアクリルアミドの量は大きく異なります。たとえばパンの場合、酵母発酵の工程でアスパラギンの多くが酵母に利用されるため、発酵時間が長いほどアクリルアミドの生成が抑えられることが分かっています。
また、農林水産省は「アクリルアミドができる仕組みは完全には解明されていない」としており、現在も世界中で研究が続いています。「焼き色=アクリルアミド量」と直結させるのは過剰な単純化になるため、注意が必要です。
どんな食品に多い?
農林水産省の調査によると、アクリルアミドが多く検出される食品は以下のとおりです。
- ポテトチップス・フライドポテト(じゃがいもを揚げたもの)
- ビスケット・クッキーなどの焼き菓子
- コーヒー豆・ほうじ茶・麦茶などの高温焙煎飲料
- トーストしたパン
- 野菜の炒め物(もやし炒め、きんぴら、炒め玉ねぎなど)
意外なのが野菜の炒め物です。カレーをおいしくするための炒め玉ねぎや、きんぴらごぼうなど、家庭料理でも普通に発生しています。また、タバコの煙にも含まれています。
逆に、茹でる・蒸す調理ではアクリルアミドはほとんど生成されません。生の食材にも含まれていません。最近、調理器具として「せいろ」が流行ってますが、健康的にも理にかなってますね!我が家でも調理に欠かせない存在になりました。
発がん性はどのくらい?
国際がん研究機関(IARC)は、アクリルアミドを「人に対しておそらく発がん性がある」グループ2Aに分類しています。動物実験では発がん性が確認されており、食品安全委員会も「公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えない」と評価しています。
ただし、現時点ではヒトへの発がんの証拠は「不十分」とされており、過度に恐れる必要はないというのが公的機関の見解です。大事なのは、「知って、できる範囲で減らす」という姿勢です。
VOCとの違いは?
ここで少し整理しておくと、アクリルアミドとVOCは別物です。
| VOC | アクリルアミド | |
|---|---|---|
| 性質 | 気体として空気中に漂う | 主に食品中に残留(経口摂取) |
| 主なリスク | 吸入による健康影響 | 食べることによる摂取 |
| 発生源 | 建材・洗剤・塗料・調理など | 高温加熱した炭水化物食品 |
ただし、トーストやフライ調理の際に発生する煙には、アクリルアミドを含む微粒子や揮発成分が混在するため、換気の重要性という点では共通しています。「調理中はとにかく換気」は、VOCにもアクリルアミドにも有効な対策です。
毎朝のトーストをやめるべき?
結論から言うと、やめる必要はありません。農林水産省も「バランスよく食べることが最も重要」としています。
ただ、こんな小さな工夫で摂取量を減らせます。
- 過度な焼き過ぎを避ける:農林水産省は「必要以上に高温・長時間の加熱をしない」ことを推奨しています。ただし「薄い焼き色=少ない」とは一概に言えないため、焼き色だけに神経質になる必要はありません
- 焦げた部分は取り除く:著しく焦げた部分にはアクリルアミドが多く含まれる可能性があります
- 茹でる・蒸す調理を増やす:同じ食材でもこれらの調理法ではアクリルアミドはほとんど生成されません
- 発酵パンを選ぶ:酵母発酵によってアスパラギンが減るため、発酵時間が長いパンは生成量が抑えられる傾向があります
- 換気しながら調理する:煙ごと外に出す
農林水産省は「バランスよく食べることが最も重要」としており、特定の食品を避けることより、全体的な食生活のバランスを意識することが大切です。
おわりに
VOCは目に見えないし、においがしないものも多いので、ついつい見落としがちな存在です。でもセンサーで数値を見ていると、「あ、空気が汚れてきてる」という感覚がリアルにつかめるようになってきます。
安心できる環境って、「なんとなく快適」じゃなくて、根拠があって快適であってほしい。そういう思いで、今日もデータを取り続けています。
VOCについてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページもあわせてどうぞ。

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